犯罪は、いわゆる動機(いじめ、虐待、家庭内不和…)と犯罪の機会(犯罪を起こしやすい条件)が接触した時に発生すると言われています。
この中で犯罪の動機部分に注目し、犯罪発生の原因をその中に見出そうとする考え方を犯罪原因論と言います。何か事件などが起きた際に、加害者の家庭環境や境遇などが取り沙汰されるのも原因論の一つと言えます。
この理論ではそのような原因を取り除くことが防犯に繋がると考えるので、必然的に「人」に注目します。
しかし、仮に一つ一つの動機にアプローチしたとしてもそれを専門家でもない私たちがすぐに防犯に結び付けるのは難しいでしょう。また、原因論をもとに犯罪防止策を考えると一歩間違えれば差別教育に繋がってしまいます。
一方、犯罪機会論は犯罪を起こしやすい条件(機会)に着目し、そこから犯罪防止策を考える理論です。「個人」には一切注目しないという点が原因論との大きな違いです。
この理論では犯罪が起こりやすい場所に焦点を当てています。多くの犯罪は「入りやすい」「見えにくい」という条件を満たす場所で発生しています。
つまり、この条件を満たすかどうかを判断できれば、その場所を避けたり、あらかじめ対策を施したりすることができるのです。
地域安全マップはこの犯罪機会論を実践可能にした学習方法です。
地域安全マップは犯罪機会論を教育に応用させたものです。社会学博士で当協会の最高顧問でもある小宮信夫立正大学教授が考案しました。
フィールドワークを通して犯罪が起こりやすい場所を探し、その場所を一枚の地図に落としこみます。地図そのものが目的ではなく、「犯罪が起こりそうな場所を見分ける能力を養う」ことを目的としています。
話しを聞いたり本を読んだりするだけでは、学習効果はあまり期待できません。地域安全マップの場合、講義→フィールドワーク→マップ作成→発表会という流れを通し、たった一回の経験でも最大限の学習効果を上げるようにしています。
また、地図という成果物を残し今後に繋げること、グループで一つのものを作り上げる達成感を味わうことなど、付随する効果も多々あります。犯罪が発生した場所が書かれた「犯罪発生マップ」、不審者情報を集めた「不審者マップ」では、その地図に書かれた場所以外では応用ができません。
また差別にも繋がってしまいます。地域安全マップは、誰でも、どこでも作ることができ、一度作るとどんな場所(旅行先、引越し先・・・)でも応用可能です。尚、地域安全マップ作成で期待される効果は次の5点です。
護身術を教えたり防犯ブザーを配布したりするという防犯の取り組みをしている自治体なども多くあります。しかし、それらを使う時はすでにその人は危険な目に遭っているわけです。
つまり、護身術や防犯ブザーは犯罪を防ぐ最後の手段なのです。それよりも、そもそもそのような危険な状況を作らないことの方が大切です。
地域安全マップはそれを可能にする学習方法です。
当協会は、「正しい地域安全マップの普及によって安全な社会づくりに貢献したい」という思いで設立されました。それが活動の主たる目的であり、原点でもあります。その普及方法として、地域安全マップ作成時や指導員養成講習時の指導や補助、各種講演活動などを行っています。
この法人は、広く一般市民に対して、地域安全マップの作成及び普及・啓発に関する事業、地域安全マップの作成及び防犯のための人材の育成に関する事業を行い、地域社会の安全と防犯意識の向上を図り、広く公益に寄与することを目的とする。
この法人は第3条の目的を達成するため、次に掲げる種類の特定非営利活動を行う。